中小企業診断士は、平成12年の通商産業省令第192号に基づく「新しい知識の補充に関する要件」を満たすため、登録有効期間5年の間に5回の理論政策更新研修を修了するか論文審査に合格して資格を更新しなければなりません。
今年度、私は論文審査を選択し無事合格することができました。
受審した審査機関の課題が非常に興味深く、今後の参考になると思いましたので回答内容の要約を掲載いたします。
課題の要旨は以下の通りです。
【老舗小規模企業が厳しい状況にある原因についてのあなたの考えを記載した上で、あなたが支援をするとすればどのような取組を行っていくかを記載して下さい。】
実際の回答は約4,000字ですが、要約して以下に記します。
『日本の老舗小規模企業は、円安・物価高、人手不足、顧客の高齢化、地域需要の減少、金利上昇といった複合的要因により、「長く続けること自体が難しい時代」に直面している。これらの老舗企業には、①リスク回避的な経営姿勢、②属人的で後継者難の業務構造、③新規顧客獲得が困難な固定化した顧客層、④インフレやコスト上昇への対応力不足、といった課題が見られる。
中小企業診断士の支援としては、経営者の「生業としての経営」という価値観を尊重しつつ、企業の強みを引き出し持続的成長を支える伴走支援が重要である。そのための有効なツールがローカルベンチマーク(ロカベン)であり、それを活用して財務・非財務の両面から企業の現状を可視化し、課題整理と対話を促進することができる。
支援では、①ロカベンによる現状の見える化と気づきの創出、②非財務ヒアリングによる信頼資産の抽出、③経営デザインシートとの併用による将来像の共創、④モニタリングによる継続的な伴走、を進める。特に慎重な経営者に対しては、数値に基づく変化の実態を示すことで、現状への理解を深め行動変容を促せる。ロカベンは、経営者の思いと言葉・数字を結びつけ、企業の持続的発展に向けた小さな一歩を共に設計するための共通言語であり、中小企業診断士の重要な実践的ツールであると考える。大いに活用して老舗小規模企業を支援したい。』
